こんにちは。2022年にボートマンを務めましたユラと申します。
鳥人間コンテストにおいてボートマンを務めるにあたって準備した事、当日の動きなどを需要があるかわかりませんがつらつら書き連ねていきますので、最後まで読んでいただければ嬉しいです。
目次
◎ 琵琶湖の調査
◎ 2.1 航行したルート
◎ 2.2 エリについて
◎ 気象予報
◎ ボートに持っていったもの
◎ 当日の動き
◎ 飛行中の指示
◎ 最後に
〇準備
〇琵琶湖の調査
琵琶湖の地形をパイロット、ボートマンが覚えるため、また気象状況の確認を行うために大会2週間前である2022年7月10日に琵琶湖の調査を実施しました。
2.1 航行したルート
今回の調査では琵琶湖西岸の和邇を出発点とし、まずプラットホームへ向かいました。次に竹生島方向に向かい、もう一度プラットホームへ引き返した後、再び沖島方向へ向かいました。竹生島方向へ向かう際に波が高い地域を航行したため、竹生島旋回点へ向かうのは諦めプラットホームへ引き返しました。航行したルートを図1の通りです。
2.2 エリについて
沖島方向に存在するエリの位置を図2に示します。図2の中で赤い丸で示すエリアが、エリが存在する地点です。 沖島方向には湖岸から1.5キロ付近にエリが多数存在し、エリの高さは湖面から3メートル程度でした。
竹生島方向に存在するエリの位置を図3に示します。 竹生島方向に向かう際には実際の飛行予定コースを想定して、多景島方向に1㎞進んだのち竹生島方向に変針しました。 図3に竹生島方向にあるエリの位置を示します。
〇気象予報
気象予報は大会2日前から行いました。 気象予報はFSAS24、 FSAS48、 yahooピンポイント天気、 windyを使用しました。 FSAS24とFSAS48は24時間ごと48時間後の予想天気図を示しています。
このような資料を参考に気象予報を行った結果、当日の琵琶湖の天気は晴、風はほぼ静穏か北から1m/s弱の風が吹くと予想しました。
またBLIPMAPという 資料を参考に境界層コンバージェンスの状況を見ると、 琵琶湖南側に弱いコンバージェンスが発生する予報でした。 このような事から2022年度は第一旋回点を竹生島旋回点とし、 最終判断は多景島に向かって飛行した際にどちら側に流されたかによって判断することとしました。 図5に2022年7月23日9時発表のFSAS24を示します。
〇ボートに持っていったもの
1.eTrex10(Garmin社製)
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ハンディGPSロガーです。 事前にプラットホームや旋回点の座標を登録しておくと、飛行コースのずれや適切な偏流角を知ることが出来ます。 2022年度パイロットからはプラットホームから飛行距離を飛行中に知りたいという意見を頂いていたため、プラットホームまでの距離を示すeTrex10と旋回点の方位と距離を示すeTrex10の2機を携行していました。
2.galaxy s21(Samsung社製)
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ボートの航跡を記録する為に使しました。 記録した航跡はフライトの振り返りに使用しました。
3.SR40(八重洲無線株式会社製)
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特定小電力無線機です。 パイロットとの交信で使用しました。 機体にも同様の無線機を搭載しています。
4.イヤフォンマイク(Planet exa社製)
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SR40に接続し使用しました。 昨年のボートマンからボート上では無線機の音声が聞こえにくいという風に伺っていた為、今回初めて導入しました。
〇当日の動き
2022年度大会は7時にプラットホームを出発する予定であった為、機体組及び機体移動は午前3時30分より開始しました。機体組を開始する前にコースについて大会メンバーと議論を行い、当日の琵琶湖湖岸の気象状況から竹生島方向へ向かうことは出発前の方針としてこの時点で決定しました。 2022年度大会では6時10分に矢倉川の橋上で読売テレビのスタッフの方と集合しました。この際に応援メンバーと共に橋上へ向かい、応援メンバーと共に控室へ向かいました。読売テレビのスタッフの方の電話番号は前日にお知らせいただくので、大会前日、当日に必ず電話に出れるようにすることが重要です。 ボートに乗船した後、1枚プロペラの特徴や、パイロットの性格についてインタビューを受けました。恥ずかしながら私は緊張しすぎてうまくしゃべることが出来ず、本放送ではバッサリカットされてしまいました。この際に双眼鏡で波を見ることで彦根沖の風の状況について観察しました。 この時点で機体は発進準備が完了しました。
飛行中の指示
2022年鳥人間コンテストではプラットホームから1キロまでの誘導をプラットホーム上の前年度パイロットにお願いしました。 発進10秒前にパイロットから「ボートOK?」と無線が入った為、「OK!」と無線を入れました。その5秒後機体はプラットホームから発進し、すぐに多景島へ向け左旋回を開始しました。 発進から30秒後にボートから前が全く見えないことに気づき焦ってしまいました。停泊中のボートからは前が見るのですが、ボートにはたくさんの機材が搭載されており重心が後ろにある事から航行中に船首があがり機体の進行方向を確認することが出来ませんでした。 琵琶湖湖上の波の高さから風の状況について観察を行うと琵琶湖上はほぼ静穏であり、北風はほぼ吹いていないとこの時点では考えていたため、竹生島旋回点へ向かうこととしました。 飛行距離が1kmを越え、プラットホーム上からの無線機が入らなくなり、この辺りで竹生島旋回点へ向かうことをパイロットに伝え右旋回を開始しました。右旋回時にバンク角が大きくなる挙動をしていたため、慌てて「左!左!」とパイロットへ無線を入れました。この辺りで北風が入り始め、機体が多景島方向に流され始めました。機体が流されては機体の方位を修正するという指示を4km付近まで継続して行いました。 飛行開始から2km辺りがやらなければならない事や考えるべきことが多く少しパニックになってしまったことを反省しています。 プラットホームから4kmから6kmまでは風が静穏状態となり、竹生島旋回点へ向けてまっすぐ飛行することが出来ました。 そしてプラットホームから6kmを越えた辺りから南風や西風などが複雑に入り始め、機体の進路を維持することが非常に難しくなりました。その為eTrex10を用いて機体の進路を「右!」、「左!」というように指示しました。 プラットホームから8kmのところで東から風が入り始めました。その際にパイロットから「足が攣りそう」と報告を受けた為、現在の飛行距離を伝えたり「気合です!」というように無線を入れる事で飛行距離を延ばすことが出来るように尽力しました。この辺りで高度が低くなりメインギアが湖面に触れました。意地でも旋回点を回って欲しかったので全力で「パワー!!」と叫びました。(声量がデカすぎて機体側のスピーカーが音割れしていたそうです。マジですいません。) そして飛行距離が9kmを越える辺りで飛行が安定し始めました。 プラットホームから10kmから13km辺りまでは風が静穏状態となり、安定して水平飛行を行うことが出来ました。 その後13kmを飛行していると再度風が不安定となり、機体の高度が落ち始めた。その為再びパイロットにパワーを入れるように指示し、機体が流されないようにコースの指示も行いました。 飛行距離が14kmに近づいた辺りで機体が左旋回を開始した為、コースを右へとるように指示をしましたが、機体が湖面ギリギリを飛行していた為、コース指示をやめパイロットに向けてパワーを入れるように継続して指示しました。パイロットの体力が限界であったこと、機体が風と逆行する方位に飛行したことから旋回停止後400mほど進んだ後、機体は琵琶湖に着水しました。図6に今年度の飛行経路を示します。
〇最後に
来年以降ボートに乗る方の参考になるといいな…と思いここまで書いてきましたが、他のチームではチーム内にボートの引継ぎ資料が存在するかもしれないという事に今更気づきました。 自分たちが作った機体が琵琶湖の湖上を飛んでいるところ、琵琶湖上で役目を果たし壊れるところを実際に見るという事は本当に素晴らしかったです。 竹生島手前4キロ地点まで連れていってくれた平岡パイロットには最大の敬意を。 ここまで読んでいただけた方、本当にありがとうございました。