2022年度大会を終えたパイロットの反省をお送りします。

目次

最初に
トレーニング
リカンベント 20 分FTP測定結果
普段のトレーニングについて
トレーニングのお供
操縦について
JT&TFについて
大会一週間前の流れ( 22 - 24 は詳細に)
フライトに関して
各距離での感想と操縦、状況メモ
フライト結果
機体に関しての感想と改善点
機体製作
これまでの大工大のパイロット選定の仕方と今後
最後に

大会一週間前の流れ( 22 - 24 は詳細に)

・18 (月) インターバルトレーニング((FTP 10 分+rest 5 分)× 4 )
・19 (火) 自宅のサイクルトレーナーでトレーニング(FTPの約 8 割強度 1.5 時間)
・20 (水) 最終FTP計測( 20 分)+ 40 分(FTPの 7 割- 8 割)
・21 (木) rest+かんさい情報ネットten.の取材
・22 (金)
  6:30 起床
  8:30 - 10:00 自宅のサイクルトレーナーでトレーニング(FTPの約 8 割強度)
  10:30 - 13:00 昼ご飯と支度
  13:20 彦根に向けて出発
  15:20 彦根着
  15:30 - 16:00 ホテルで小休憩,明日の朝食を買う
  16:00 - 17:00 駐機場,プラホ確認
  18:00 - 20:00 鳥コン最終説明会
  20:15 - 22:00 晩御飯(お好み焼き屋)
  23:00 就寝

・23 (土)
  5:15 起床
  7:30 鳥コン会場着
  8:30 - 9:30 ランニング約4km
  11:00 パイロット服装チェック
  12:00 - オンボードチェックその他
  16:30 - 17:30 プラットホーム下見、撮影会、鳥コンPV、ten.の撮影
  19:30 - 20:30 ブロンコビリー
  21:30 就寝

< 23 日のご飯まとめ>
朝:アップルパイ
昼:ランチパックたまごとinゼリーぶどう味(腹痛すぎて全然食べれなかった)
夜:ブロンコビリー 420 g粗挽きハンバーグとかまどごはん小。寝る前水 500 mlを飲む。

・24(日)
  2:30 起床(予定よりも45分早い、目バキバキ)
  3:45 現地到着
  4:30 - 5:00 アップ(1 回目)
  5:10 メディカルチェック(体温: 37.1 ℃)
  5:20 - 6:00 アップ(2 回目)
  6:15 プラホの桟橋前で待機

<飯>
朝:おにぎり(紅しゃけ) 2 個、アミノバイタルゼリー 1 個。
1 回目のアップ後:mag-onグレープフルーツ味を摂取。
2 回目のアップ後:mag-onカフェイン入りあおみかん味を摂取。

 大会期間中ほぼ機体運営はメンバーが全て行ってくれていたおかげで何もしていない。
ありがたいですね。パイロットは何もせずにアップとかだけするように。自分に集中。

フライトに関して

◇飛行ルート(予定)
 SCWでは北からの微風だったため、まず 1 ~ 2 kmは左斜めに多景島が見えるように飛行しそこから北ルート竹生島旋回ポイントへ。風は静穏なので 8 m以上 10 m以下維持。

〇発進前
・機体がプラホに上がるまで桟橋前で待機。
・ガイガーリグにはアクエリアス 1.0 L+氷少し??
・プラホに上がって飛行ルートの確認.
大工大の 21 年パイロットと相談。風は静穏。
・琵琶湖に一礼(緊張がぶっ飛んだ)。
・TV局から 7 時フライト開始と告げられ暫く待機。

〇~ 2 km(約 6 分経過)
・午前 7 時 02 分、エレベータトリム 2 段アップで難なく発進。
・綺麗に飛び立ったのに緊張からか始めアップを打って機首をかなり上げてしまった。
・無風だったので高度は上限いっぱいに飛ぶように、翼端失速、ダイバージェンスにはならないように意識。
発進後高度 10.6 m(メータに示されていた値)で少し高めと思っていたが実際はもっと高度が高く 12~13 mあったと思われる。高度計が測れる限界値が 10.6 mであることをこの時把握していなかった。
・負荷は発進時 270-300 W。定常飛行時 220 - 230 W。風が良い感じの時はそれ以下。
・ 1 kmぐらいまではプラホ上からの無線も聞いて操縦。
・ボートからの高度下げる指示があり、ケイデンスとエレベータトリムを1段落とす。
・スタートから緊張で心拍数がそこそこ高かった気がする( 140-150 bpm)。
・北風で思った以上に多景島のほうに寄っていたため(左斜めのはずが気付けば正面)ボートマンから無線で右へ指示。
・ガイガーリグのホースを固定するのを忘れていたことに気付く。
・高度に余裕があったため後ろに回ったガイガーリグのホースを掴んで水分補給したが、機首が若干下に向いていた&ケイデンス低下で高度が2 m~2.5 m落ちた。
・ 2 カ月ぶりの搭乗で操縦もパカパカ大きく最初は打ってしまっていた。特に垂直尾翼の動きが激しかった。
(実際リアルタイム配信の実況でも南なのか北なのかどこ向かってるか分からないと言われた)

〇~4 km(約11 分経過)
・ 3 km地点で高度は変わらず高くボートから高度を下げるよう時々指示があった。
・ボートマンの声がでかすぎて音割れがひどかった。無線が悪かったのかもしれない。
・ 4 km付近で少し機体が風の影響で若干沈められる感覚があった。機体後ろからガスト?
このとき少しペダルが重かった。負荷は 250-260 Wぐらい。
・心拍数は 160-170 bpmぐらい、まだ肺は大丈夫。
・脚もまだ余裕。

〇~ 8 km(約 25 分経過)
・5368.97 mを超えチーム記録更新後は琵琶湖を眺める余裕がでてきた。
・6 km超えたあたりからガストあり、風で機体が北や南に流される(笠岡TF 5 本目みたいな)。 若干機体が風で押しつぶされている感もあった。ここまでラダートリムで処理しながら操縦していたつもりだが、ちょっと難しかった(操縦が下手なだけ)。高度も落ちてきた。できるだけ高高度維持したかったので落ちる度ケイデンス若干上げていた。
・7 kmを超えたあたりからちょっと脚と肺の疲れもあり、ちょっと休憩、高心拍数を少し下げる狙いで少し機首を上げた。
・高度計を見ると 1 m- 2 mとなっておりまずいと感じケイデンス90、負荷270-320 W前後でトリム1段アップ(計3段アップ)を打って迎角を大きくして良い感じに正対風が入って揚力を得て浮上するまで待つ。その結果ちょっとずつ高度が上がって耐えた。
・この距離の段階で 6.5 割ぐらい体力を消耗していた気がする。
・ 8 km前後から左脚のふくらはぎがつりかけており何度も無線で距離を聞いていた。
・アクエリアスを飲もうにも呼吸が荒すぎて(体感 185 bpm)うまく飲めず、機体に置いていたmag-onも開けはしたが飲めなかった。
・この辺から暑くなってきてギヤのマウントの木の軋む音が気になりだす。

〇~ 10 km(約 30 分経過)
・ 8 km超えてから下がった高度を上げる( 7 m- 9 mぐらいにする)ことを意識。
・南側から風が吹いており左翼側からもろに横風を受けていると感じ、ラダートリムを 1、2 段打って偏流飛行っぽくしてパイロンに向かったつもり(体感)。
・ 9 km地点でボートマンの無線に応答できる体力がなくなる。
・ 10 km達成して少し安堵。次は旋回ポイントの 18 kmを目指す。
・ 2019 年の大府大の記録(パイロン旋回 19 km)を意識し始める。
・ペダリングが雑になってきて脚が左右にぶれるようになってきた。
・ボートの無線によりエレベータトリム 1 段ダウン。
・ 11 km地点~脚がつりそうになる。
・パイロンのようなものが見える(幻~)
・約 12 km地点でボートマンに旋回を時計回りでいくか提案した(まだパイロンよりも 左側を飛行しており北風でパイロンの右側に行くのが困難だったため)。今思えば何故 この判断を残り 6 kmもあるのに考えていたのかは謎。

〇~ 14.27423 km(約 43 分経過)
・パイロンが目視できたため、ちょっとテンションup。
・ 13 km超えたあたりから鳥コンでよく見る最後のピッチ不安定死闘ゾーン。
・高度が下がっているのは分かっていたので、なんとか湖面ギリギリで粘る。気合で踏み 抜く。ケイデンス 95-100 、負荷 300 W以上。
・バンクがついているのに気づいていたが、高度が低くそれどころじゃなかった。
・高度上げた後に失速しないように操縦し、速度計、高度計とにらめっこ。一度機首上げ過ぎて失速速度に入りそうになったので思い切って小さくダウン打って安定させる。
・着水寸前はケイデンスを上げてトリムでアップを打ち続けながら距離を延ばすことを 意識。
・完全に着水と同時にペラを”上”に。おかげで回収後プロペラはほぼ無傷。
・着水後は完全に左脚のふくらはぎがつって動けず。
・胴体底のフェアリングにフィルムを貼ってくれていたおかげで沈む前に脱出できた。

フライト結果

写真4 飛行ルート

グラフ1 フライトデータ
(上から時間ごとの高度,大気速度,ケイデンス)

※ケイデンスのログはメトロノームの音であって実際のケイデンスとは異なる。
飛行距離: 14274.23 m
フライト時間: 43 分
平均出力: 220-240 W(min: 200 W,max: 400 W前後)

フライトを通して・フライト映像視聴後の感想

 目標だったパイロン旋回まで行くことはできなかったが、チーム記録の大幅更新に加え、 10 km越えができることができて良かった。フライト映像を振り返って自分が予想していたよりも高度が高かったり、 湖面ギリギリだったりしていて、琵琶湖上での目視での高度の 見極めというのはかなり難しいなと感じた。風の影響でこんなに脚が軽くなったり重くなったりするものなんだなと思った。 7 ~ 8 km地点で高度 2 m切ったところから 10 mまで戻したのは我ながらよくやったと思う。湖面の波をよく見て風の流れを確認できてれば、あともう少し無駄舵をなくせれば、もっと飛べていた。
 今回はプロペラ機部門1番手で天候ガチャも勝った。ちなみに今年の運勢は大吉。例年は末吉か小吉又は凶。 普段から善行を重ね神に祈りを捧げ来年もフライト順上位か昼凪の時間帯を取りましょう(笑)。飛行神社には必ず行きましょう。神頼み大事。
 フライト中はよく喋っていた。大工大にはこれといって鳥コン運営サイドが取り上げてくれるネタがなかったのでよく映してもらうには喋るしかないと思ったためフライト中はよく喋っていた。案の定かなり番組で使ってもらえて、テレビで見ていてちょっと恥ずかしかったが、あれで良かったと思う。笑いも取れたし、口数減らせばもっと飛べていた??

機体に関しての感想と改善点

〇翼について
 反り上がった翼を胴体内から漕ぎながら見ていたがただただ綺麗だった。着水時綺麗に主翼残っていたはずで全部返ってくると思ったが何故か5翼が消えた。

〇胴体について
 早朝にも関わらず、胴体内はそれなりに暑かった。フライト後も風は入ってくるけど 特別涼しいと感じるほどではなかった。来年は昼に飛ばすことになるかもしれないことを考えると主に頭、胸元を冷ますインテークの改良を依頼したい。胴体底のフェアリングにフィルムを貼ったのは大正解。おかげで沈まずにすみました。あとパイロットが乗った時に見える正面の遮光フィルム、あれかなり綺麗に貼らないとパイロンが認識しづらい.直前に作ってもらった首置きは作って正解。

〇駆動について
 ギアボックスから異音は今回なかった。がしかし、マウントの木の軋む音が途中から気になりすぎてぶっちゃけ耳障りだった。あと 10 km超えたあたりからクランクのネジが緩んできたのか漕いでる足がグニャングニャン動いてロスが生じていた気がした。(実際は緩み無し,クランクの剛性不足かただの気にしすぎか??) 来年はパワーデータも取りたいのでVector Ⅲをつけましょう。

〇電装について
 まずはトリムボタン。これは本当に良かった。余裕が出てきた途中から操縦桿ではなくトリムで操作するように心がけた。おかげで足を回すことと高度の維持に集中することできた。また今大会から採用した高度をライトで表示させるあれも高度が下がっていくたびに点滅回数が増えて知らせてくれるので凄く良かった。他チームの表示計を見ていて機体の傾きとかも分かったらもっと面白いかも。あと舵をどれだけ打って使っていたかもデータとして取ってそれをパワーと一緒に見れたら面白いかも。

〇プロペラについて
 下面角完璧。きちんと合っていた。プロペラがほぼ損傷なく帰ってきて良かった.後縁の一部が破損してたぐらい、パッと見だと全然分からない。 悔やまれる点と言えば回転試験で最適な場所を見つけることができず妥協して終わってしまったことだ。

〇ガイガーリグについて
 搭乗後に忘れていたがテープでホースとポンプをパイロットの肩で固定すべき。途中の飲み口のチューブが肩の後ろに落ちてしまい取るのに時間がかかった。心拍数が上がってきて途中から飲んでも喉を通らなかった。

〇オンボードカメラ,リアルタイムカメラについて
 位置はあれで問題なく、ペダリングの邪魔にもなっていなかった。製作班関係ないけれどTV局の方々もっと縦置きか横置きかとかもっと正確にもっと早くから教えてくれたら良かったですね。急遽現地で製作したりしてくれた先輩、同期、後輩には頭が上がりません。ありがとう。

機体製作

  19 年~ 21 年度はプロペラ班( 21 年度班長)で機体製作に携わっていたが、今年度はプロペラ班の金属加工や真空引きの手伝い、翼のフィルム貼り以外特に何もしていなかった。 同期や後輩にほぼ任せていたおかげで割とパイロットに集中できた。

これまでの大工大のパイロット選定の仕方と今後

 私が入学したのが 2019 年で、パイロットは複数いることがなく例年 1 人か 2 人で大工大の方針的にはパワーよりも操縦面が重視される傾向にあった。体感 3 : 7 ぐらい。航空部に入ってないと無理!!乗せない!!と言われるレベル。 19 P、 20 P+ 21 Pは航空部所属。私は航空部に所属していませんでした。そのかわりに、プチトレーナーやハンドランチグライダー、シミュレータを使ってこの 3 年と半年操縦練習をしていました。初めゴミでも操縦のノウハウがある人が数人いれば航空部に入っていなくても徐々に上達することがわかりました。センスがあればもっと早い。ちなみに私は皆無。しかしFTP計測を見てもらったらわかるように脚力、心肺機能向上はそれ以上に難しい。とこの 1 年やってて思いました。今後、14 kmを超える記録を狙うのであれば、パイロット選考基準を操縦重視よりも脚力重視に変えていくべきだと思います。個人的に選定基準として脚力と操縦技術の比率は 7:3 。

最後に

 今回 14 kmフライトすることができたのは、勿論自分だけの力ではなく、自分を応援してくれたり、刺激をくれた人たちと受け継がれてきた機体製作技術や新たな技術を取り入れて機体製作を頑張ってくれたOB・OG含めたメンバー皆さんのおかげだと思います。 今大会まで恵まれた環境下で多くの人たちに支えられて充実した日々を過ごすことができました。本当にありがとうございました。本当に、本当に楽しかったのですが、脚力と心肺機能向上は大会までにもっとできたはずで、何かしらに言い訳つけて怠っていたことを悔いてます。 もっとやっていれば、旋回地点まで行けたのかな、 20 kmも超えれたじゃないのか??化け物パイロットにもなれたのかな??と...
後輩パイロット達には他チームからも一目置かれるぐらい強いパイロットになってほしいなと思っています。 うちの今の機体性能ならパイロットの脚次第で旋回地点までフライトしてパイロンを旋回することができます。なんならプラットホームまで帰ってこれる可能性はいくらでもあります。 次代の子達がそれを達成してもっと 1 枚ブレードプロペラの魅力を世の中に発信してくれることを願っています。頑張ってください。応援しています。

 大体こんな感じですかね。また質問、不明点等ございましたらLINE又はTwitter(@kou46_oithpa)までご連絡ください。
以下、かんさい情報ネットten.さんに取材してもらった映像です。よければご覧ください。 https://youtu.be/c7xnh6i-0gU

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